お金ではない経済
僕らの世界で経済(エコノミー)というと、お金の話ばかりになりますね。
僕はどうしてもそれに違和感があって、経済の話はそれほど好きにはなれません。(でした)
経済というのはお金だけの話ではなく、暮らしそのもののこと。
つくって、わけて、つかって・・・という「やりとり(の関係性)」が経済そのものなのに、そのやりとりに必ずといっていいほどお金が発生してしまうようになったのです。
だから、経済=お金という部分にフォーカスが当たってしまったのかもしれません。
むしろ、お金ありきになっているのは、なんだかおかしい話ですね。
でも僕らの社会は、お金以外のものがたくさんやりとりされています。
その代表的なものが、ギフト。
お金では計れないもの、お金では交換できないようなものがたくさんあって、それがお金以外の経済をつくり、お金でまかなえない役割を担っています。
お金で交換されないギフト
ギフトとは、相手や内容、そのギフトの行き先などで、いろいろなタイプがあります。
記念や行事のプレゼント
誕生日プレゼント、クリスマスプレゼントなど、子どもは受け取るだけで代金(対価)を払いませんよね。
そりゃそうです・・・サンタからプレゼントを買うわけじゃありませんから。
見返りもない無償のギフトが、子どもたちにギフトされるわけです。
その子どもたちは、誰かにギフトをするわけでありません。
でも、未来の社会を担う大人に成長をして、間接的に僕らがギフトしてくれることを、大人たちは期待していますよね。
お中元やお歳暮
個人や企業のお中元やお歳暮はどうでしょう。
一種のギフトであるものの、お返しが必ずありますよね。
義務じゃないし、送った人に戻される習慣があります。
でも、もらった人が価値を決めてお返しをする、という価値を相手が決めているというところは面白いですね。
寄付やボランティア
寄付を集めたり、ボランティアをしている場合はどうでしょう。
寄付には対価がなく見返りがありません。ボランティアも同じように、報酬をもらいません。(もらう場合もありますが)
自分自身が持ち出すお金や時間を無償で提供し、受け取った組織がそれを必要としている人に提供するということで、送られていますね。
いろいろなギフト
インターネットが誕生した頃、情報のすべてがギフトのようなものでした。
みんなの知恵を持ち寄り、情報をシェアし、このインターネットという空間を使ったサービスなどを、ほぼ全員が無償提供してたのです。(すぐにホスティングサービスなどが出てきましたが)
僕も音楽配信の技術を集めてサイトをつくり、それがもとになってビジネスがたくさんやってきて、日本初の音楽配信に繫がりました。
また、画像や情報が無償で提供されるクリエイティブコモンズやWikiなどもその流れを受け継いでいますよね。
無償で提供することで、誰かの助けになることで、より良い世の中をつくっていこうという考え方でもあります。
現実の世界でいえば、献血や臓器提供もギフトといえますね。
血液や臓器が、必要な誰かに提供されて、命を繋いでいます。
僕らの世界(経済)は、お金だけじゃない
僕は幼少から家の手伝いをするのが好きで、いまでは料理をすることも草刈りも楽しくやれています。小学生からボーイスカウトに入り、元旦から熱田神宮でゴミ拾いをしていたのも覚えています。
「人のため」という言葉が嫌いな思春期を越して、気づけば誰かの困りごとを解決しようとしてビジネスをしている自分が不思議です。
たぶん、「人のため」という、どこか恩着せがましい言葉が好きじゃなかったのかもしれないし、「人のため」と「お金」というものがくっつくことを嫌ったのかもしれません。
幼少からずっと音楽をやっていて、気づけば高校を卒業して音楽の仕事をやっていたのですが、ミュージシャンは溢れるような音楽を生み出し、人に聞いてもらうことで喜んでいる姿がとても嬉しかったし、羨ましかった。
でも、音楽で生計を立てられればいいけれど、なかなか難しいので、どうしてもそのシステムに乗らないといけません。
そこで、CDというプラスチックの板に音楽を入れて売ったり、ネットで音楽を売ったりして、音楽を聞かせるたびにお金というものに換える仕組みの乗せなければならい状態になったんです。
そのビジネスの仕組みをうまく利用し、耳障りの良い15秒CM音楽にお金が集まるようになって、巨大な商業音楽ビジネスが誕生したのです。
それを見て僕は、商売のネタになる音楽しか発売しないレコード会社に飼い殺しされるミュージシャンを解放したいと思い、僕は国内外の700のインディペンデントレーベルを集めて、メジャーレコードに対抗する音楽配信を始めたのです。
僕らは、お金を稼がないと生きてゆけないのだろうか。
人生を、お金に振り回されていないだろうか。
お金が、人を幸せにする道具に戻せないだろうか。
振り返ればそんなことを考えながら、ビジネスづくりをしていたんです。
でも現代では、もうお金を無くすことは不可能でしょうし、無くなっても代わりの同じようなものが出来てしまうのでしょう。
でも、お金をうまく使って幸せになることはできるし、お金と併せて、あるいはお金以外のものも含めて、経済を動かすことはできるのではないかと思うんです。
きっとお金が経済の補完的な役割をするくらいの関係性は、つくれるのではないかと。
フェアトレードに関わっているのも、フェアトレードコインをやっているのも、そうした理由です。
だから考えたい、ギフトエコノミーの可能性について。
ギフトエコノミーは、お金のない世界ではなく、もうひとつの経済循環。
見返りを求めず
価値を相手が決めて
誰かに送られる
僕らの周りには、たくさんのそんなギフトの世界があって、きっとお金が優位になって気づけなくなっているだけなのかもしれない。
だから今一度、そうしたギフトの循環経済を発見しなおして、現代にうまく取り入れていけたら、きっと社会はとっても幸せなWell−Beingな世界になるのだろうと思うのです。
そんなギフトエコノミー、みんなで考えませんか?
そこでまず、ギフトエコノミー勉強会のコミュニティを作りました。
https://www.facebook.com/groups/1287716091980845
ぜひみなさん参加して、みんなでギフトエコノミーを描いていきましょう!
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