起業に勇気はいらない

アントレプレナーシップ

起業していない人が、起業をリスクだと言っている

なかなか起業の1歩が踏み出せない。
起業だなんて、そんな勇気はない。

だから、起業には、勇気が必要だ。

そんな思い込みがありませんか?

結論からいうと、起業に、勇気はいりません。
むしろ、勇気を意識していない方が、うまくいくことが多いと思います。

実際に私は、30社の起業や経営の経験をし、500人以上の起業家の支援をしてきました。
実際に私は、起業に勇気を意識したことがありません。そして、出会った起業家と話をしても、起業に必要だったのは、勇気ではなかったと思います。

起業といえば、まるで崖から飛び降りるかのようなイメージでしょうか。

よくある起業家を説明する一文には、「リスクに果敢に挑戦する人」とか書かれていることが多くあります。

もし起業家が起業を説明したら、こんな無謀な人のような説明にはならないはずです。きっと、あきらかに起業をしていない人が表した表現です。
しかも果敢だなんて、大胆という意味でしょうが、無謀のように受けとめる人もいるはずです。
(一見、カッコ良さそうですが、どこか皮肉さも感じるのは私だけでしょうか・・・)
起業をしていない人から見れば、毎月固定給が入るような雇用されていないことがリスクだと感じるのかもしれません。

起業経験者でもないのに、そんなにハードルを上げないでほしい(笑)
リスクばかりを強調するから、起業する人が増えなくなってしまうのではないでしょうか。

勇気が本当に必要なとき

いろいろな人に勇気づけられて起業した、そんな言葉を使う人もたくさんいます。

言葉ではそう使っていますが、実際のところでは、応援されたとか、元気をもらったとか、そういう言葉でも代わりになります。それはずっと変わらないと想います。

僕は勇気を否定しているわけではありません。
人生において、勇気とはとても大切で必要なものだと思っています。

誰も手を上げない時に、手を挙げる勇気
みんなが言い出せないことを、言うときの勇気
好きな人に告白をするとき、誰かに席を譲るとき、バンジージャンプをするとき・・・

心の迷いに「えいっ!」と背中を押して行動をしなければならないこと、たくさんありますよね。
同調圧力の強い社会では、勇気を持たないとやれないこともたくさんあります。

だからこそ、勇気は、そんな「いざ」という時のために、大切に取っておいて欲しいのです。

時々、気分が落ちたり、うまくいかなかったりしたとき、その状況を跳ね返すような元気が欲しい時もあります。
きっと、起業したあとにも勇気が必要な時がやってきます。ぜひその時に使ってください。

なぜ、起業に勇気が必要だと感じるのか

ではなぜ、「起業に勇気が必要だ」と感じるのでしょうか。

起業家の説明を「リスクに果敢に挑戦する人」とあるように、新聞やテレビなどでも、それを面白おかしく取り上げています。

不景気や不況、倒産や破産話の一方で、成功者の贅沢な暮らしが華々しく取りあげられています。
この雲泥の差が、起業が博打やギャンブルのようなものだという印象を植え付けているのでしょう。

起業は、一か八か…か?

「一か八か」とは、運を天にまかせて、冒険すること。のるかそるか。出たとこ勝負で。という意味のようです。

ですから、こういう話題を聞くと、「やっぱり起業はリスクの高いものだ」と思ってしまっても仕方がありません。
ですから、家族や同僚に相談すれば、否定的な意見ばかり。起業の心理的なハードルがどんどん高まっていきます。
そしてそのハードルの高さを飛ぶために、より強い勇気が必要になっていく…そんな悪循環が、一歩踏み出すことを躊躇させます。

日本の起業率が世界でも低い現状というのは誰も知らないようです。
日本の外側の世界では、起業が当たり前になっている世界がたくさんあります。
起業がリスクだと、これほどまでに恐れるのは、日本の中だけの出来事です。

勇気が必要なのは、不安が大きいから

起業に必要なのは、勇気ではありません。
では、何が必要なのでしょうか。

なぜ勇気が必要かというと、ワクワクするよりも、不安のほうが大きいからです。

もし自分が、楽しいことに夢中になっていたなら、そこに線を越える勇気を感じることはありません。線さえも気づいていないかもしれません。

人から見れば、大きなリスクがいっぱいあるように見えることも、自分には見えていない、感じていない・・・ただ、それだけのことで不安を感じません。

つまり、自分が勝手に作り出したネガティブな思い込みに対して、不安になっている、そこに勇気が必要なのです。
あるいは、ワクワクする気持ちが、不安に負けている状態です。

勇気が必要なとき  : ワクワク < 不安
勇気がいらないとき : ワクワク > 不安

ワクワクより不安を小さくするには2つの方法だけ。

①(ワクワクするよりも)、不安を小さくする
②(不安よりも)、ワクワクすることを大きくする

それができたら苦労しない、そんな風に思うかもしれません。

不安を減らすためには、事業に対してなんとかなりそうだと思えること。
実際には、これしかないのです。

あなたにとって、不安が減る時はどんな時ですか?

「頼れる誰か」が一緒なら、勇気に頼る必要がない

知らない土地に行った時、たとえば、地図があれば不安は減りますよね。

もっと減るもの、ありませんか?

たとえば、友人が住んでいれば、とっても気持ちが楽になりませんか?

つまり、何か取ってきた情報よりも、土地勘を知っている誰かがいれば、不安が減るわけです。

つまり、仲間です。

起業はひとりでしないといけないものだ

そんな風に思っていませんか?

チームで起業をして、あなたが代表でもいいわけです。

他の仲間が、みんな取締役や株主である必要もありません。
あなたが方向を指し示す役割をもった、チームです。

不安はたくさん出てくるかもしれません。
でも、起業前の不安なんて、やってないことだらけ。

想像できる範囲のことの99%は起こりません。

予想しないことがどんどん出てくるわけです。
それが不安に思えるようなことかどうかも、わかりません。
ワクワクすることばかり、かもしれません。

だから、起業前の不安なんて、ちっぽけなもの。
いくら考えたって、意味がありません。
知らない世界を旅するわけですから、いくら準備したってキリが無いのです。
いくら勇気を出したところで、あなた1人なら、何も解決しないでしょう。

だから必要なのは、仲間。コミュニティです。

ただし、励まし合うだけの、コミュニティは危険です。
結果的に、依存しあっているだけでお客さんが増えない、身内だけで表彰しているだけ、なんてコミュニティがたくさんありますから。

自分の想いに集まる仲間の中で、自分の役割として代表をすることだったり、必然とその時期はやってきます。

「気づいていたら起業していた」

くらいの状態が理想です。

少なくとも私は、18歳の起業がそうでした。あとから、「それって起業っていうんだよ」と教えてくれました。

勇気という言葉にさえ気づかないような…自然体で起業することがベストですね。

不安をいくら予測しても、99%はやってきません。
だから、起業には「勇気」はいりません。

どうですか?
勇気が湧いてきましたか?(笑)
勇気がいらないなんて、とっても勇気が湧きませんか?(矛盾?)

あなたが描いていた、誰にも見えない高い塀や深い谷。
きっと1人で考えて背負ってきたからなのかもしれません。

もっとみんなに頼っていいし、もっとみんなで考えてもいい。
事業を通じて、みんなに恩返ししていけばいいのです。

勇気よりも、仲間、つながりが大切です。

勇気のいらない起業を、もっとたくさん増やしていきたいなと思っています。