何かを変えたいのなら、自分が変わるしかない 〜立ち止まるよりも、回り道のほうが近い

アントレプレナーシップ

変化に100年かける教育事業

「社会を変えたい」と活動をする起業家、そして起業に関する相談を毎日のようにしています。

社会を変えたい、でも変わらない。

そうですね。
そんなにカンタンに変わるはずもありません。

私がはじめたコモンビートという団体は社会教育をプログラムとしていますが、「多様な価値観を認め合える社会」ということをいつ達成するつもりなのか?という話をよく質問されました。

100年かけて変えていく

というのが、私の答えです。

10周年でオルタナさんが別冊を作ってくれました

大抵の場合、「そんなに長い時間なの?」という顔をされます。

でもどうでしょうか、社会を変えていくことが、一日でできるはずもありません。では1年?10年?30年だったら、それっぽいのでしょうか。
僕の小さいころの記憶と、今の社会で、変わっていないことなんてたくさんあります。
その反面、ずいぶんと変わってきたこともありますが、まだまだ変わりきっていないよな〜ということもたくさんあります。

もし、一瞬で変わったとしたら、それは、マジック(魔法)
もし、1時間とか1日とか短い期間で変わったとしたら、それは、洗脳

マジックには、トリック(仕掛け)がありますし、洗脳は強制、すぐに解けます。
つまりどちらも、すぐに戻ってしまって何も変わらないのです。

本当に変えたいことは、社会の時間軸も必要だし、人が理解するまでの腹落ちの時間、世間での認知や認識など、やはりいろいろと待たなければならないことがあります。

そして、理想とするような変化、つまり変わったと自信をもっていえる状態になるには、やはり100年くらいはかかると思っています。

必死で変え続けて、100年。
そう、
思ったよりちょっとづつ変わるのです。

でも、実際にはやっぱり急いでしまう。
なぜこんな長い時間で考えられるようになったのか。
そんな話を綴ってみたいと思います。

最初に起業した会社では、自分以外のいろいろなことを変えようと必死だった。
社長とか代表と言えば変えられる「権限」とやらを持っているから無理をいえば、見た目には変わるんだけど、結局、僕に見えるところだけが変色したような感じ。
しかしコモンビートは、僕が代表だなんて関係ない。みんなの組織だから、僕がひとこと言ったとこで何も変わらない。だから僕が変わった。そしたら、人も組織も変わった。

変わらない現実に、立ち止まっていても何も変わらない

つまり現実は、本当に少しづつ変わっていくので、 変化の時間はとってもわかりづらいものなのです。

自分の思った通りに変わらない、だから相手が悪い。
そんなふうに人は誰も、自分以外のせいにする傾向があります。

もちろん、自分の中に、理想とする未来が描けているのだと思います。

誰かが苦しんでいる
このままだと取り返しがつかなくなる
急がないと間に合わない…

そんな姿が見えているあなたにとっては、一刻を争う状況かもしれません。

しかし、見えていない人にとっては、あなたのその焦りに共感することができません。

あなたが、その見えていない人のことが理解できないように、あなたのことも理解できないのです。

ただ焦って、ジタバタして、他人を責めたところで、何も変わりません。

もし、本当に急いでいるのであれば、やるべきことはただひとつ。

他人を変えるより、自分が変わったほうが早い

そう、変わらない人に寄り添えるように、自分を変えるしかないのです。

コモンビートの2年目、理事会をやっていたところ、理事会の必要性がない、事業計画なんて作っても意味がない、という話になりました。
ベンチャーを経営してきた僕にとっては、短期計画や長期計画は当たり前、理事会のような意思決定機関の存在は重要であると言う認識でした。
でも、みんなが「いらない」と言うんです。
そこで僕は、
「じゃぁ、理事会はやめよう、事業計画を作るのもやめよう」
という決断をしました。
彼らの言い分は、「現場が最重要なんだから、現場が決めればいい。そして、いろんなことが成り行きなので、未来の事は作ったところで変わるので意味がない」ということでした。
なぜ、僕がこの提案を受け入れたか?
それは、事業計画や意志決定機関の重要性のわからない相手を説得しても、意味がないと思ったのです。
人も組織も、やっぱり成長するスピードがあって、経営をしたことがない人たちが集まった組織では、やっぱり前提となる知識や経験がないので、それが整う時間がどうしても必要だと考えたのです。
運営をしていく中で、彼ら自身がその必要性を感じることに気づけば良い、ということです。
「もしこれで潰れるなら、コモンビートはそれまでの実力だった…ということにしておこう。」と自分に言い聞かせて、彼らの時間を待ちました。
そして1年ほど経過をし、活動がどんどん大きくなっていき、扱うお金も人の数も増えていきます。
そして、翌年の年間スケジュールを考えなければならないような時期に、彼らから計画や組織の必要性について語りはじめたのです。

もしあのとき、僕が自分のやり方を貫いていたら、いろいろな不和が生まれたり、人や組織が育つ時間さえも奪ってしまい、きっと今日という日もなかったと思います。

結果より、プロセス。
紡ぐような時間が、全員の歩幅を合わせたり、息を合わせていくことに、とっても必要だったのです。

自分が変わらないで、何かを変えられるはずがない

人は、自分が正しいと思えば思うほど、自分を変えようとしません。
そりゃそうですよね、自分が正しいわけですから、「変える必要がない」と思うわけです。
ですから、間違っている周囲が自分に合わせるべきだ、という態度になってしまうのです。

そうやって、孤立をしてしまう人がたくさんいます。僕もそうでした。

起業家や経営者を見ていても、やっぱり同じ状況が起こります。
急いでいる、急がされている、色々あります。

自分の思っていることが「正しい」と思うほど、孤立します。

なぜなら、相手もある一面で「自分たちは正しい」と思っているからです。

自分が正しい、
相手は間違っている、
だから、
相手を正すべきだ

そういう理屈で相手を責めるのが、対立であり、戦争です。

結果よりも、正しさを証明するためだけの、無駄なプロセスです。

もちろん、自分の想いや信念(Will)を変える必要はありません。

でもそれがゴールであり理想の姿なのですから、そのための方法(Can)は無限にあるわけです。
変えない部分を残し、それ以外のやり方や考え方など、あらゆることについては変えてもいいはずです。

対立して動かない時間を鑑みると、遠回りでも足を動かした方が、結果的に時間は短くなることさえあります。

経営者の多くは、
「自分がやった方が早い」
と言います。
でも、忙しくてバタバタして後回しになって、結果的に任せた方が早かった、なんてことばかりなのです。
僕は若い時に自分の能力を過信していました。結果的に、誰かの存在を否定することになるのです。

自分に見えている世界は、本当に狭くて小さいもの。
無限の可能性がある中で気づいた、ほんの一握りの選択なのです。

それ以外の選択を取ることができるなら、ぜひ取ってみたいですよね。
でも、それが唯一でベストだと思い込んでいます。

新しい選択肢を手に入れるには、余計なこだわりを捨てて、周りに任せてみる。そうやって、自分を変えてみることです。
結果、可能性を無限に広げることができるはずです。

だめならやめればいいのです。
でも、変わらないと可能性は見えてこない。

自分が変わらないで、何かを変えられるはずがない

自分を変えることもできない人が、何かを変えられるわけがないのです。
今の私は変わることに、なんの後ろめたさも、こだわりも、不安も持っていません。
コモンビートでも、代表だけど本当に雑用。公演中にトラックを取りに行ったり、ゴミを捨てに行ったり。
でも目的のために役立っているなら、いいじゃないですか。
いま、それをやれる人がいないなら、嬉しい役回りです。
正直、変な意味でのプライドが全くないのです。

どんなに世界が変わろうが、私の想いは変わらない。その想いに届くのであれば、どんなに自分が変わってもいいと思うからです。

そのほうが、新しい可能性が見つかるし、近道になるかもしれない。
なんか新しい世界が見られるかもしれない。

僕がそう思えるのも、あの時の経験があり、仲間たちがいたからだと思います。

仲間がいれば、変化も怖くありません。

自分が変わらないで、組織が変わるはずがない
組織が変わらないで、社会が変わるはずがない

自分が変わらないで、何かを変えられるはずがない

どんどん変わっていきましょう!