ひとりの限界
地球一周をして、社会課題解決にシフトした30歳。
それから10年間、社会課題を解決したいと、いろいろな事業に携わってきています。
コモンビートという団体をつくり、社会課題の根本的な原因のひとつである多様性への怖さを解消するために、100人100日社会人ミュージカルを全国で展開してきました。
この間、様々な社会起業家と出会い、自分の想像以上に深刻であることに、危機感を募らせるようになりました。
社会課題は複雑で、多岐に渡り、時間がかかり、全世界のあらゆる場所で起こっている現実に、我々は直面しているということを。
その状況を実感するたびに、どれだけ僕ががんばっても、変えられることには限界があるのではということに気づきはじめます。
当時は、可能な限りの社会起業家と出会い、連携や支援をして、自分自身でも社会課題解決に関わる起業や経営に時間を充てていました。
しかし、たとえ自分が100の事業を立ち上げたところで、社会は変えられない。
その事実を突きつけられたとき、ひとりで立ち向かう限界を痛感したのでした。
起業家支援は、学び
当時、多くの社会起業家と一緒に、社会をどういうアプローチで良い方向に変えていけるのか?ということを話していました。
環境、自然、ゴミ、汚染、人権、貧困、障がい、家庭、飢餓、戦争・・・
社会起業家の仲間と話をするたびに、世界に新たに増え続ける課題を知ることになります。
いろいろな現象があり、そこにいろいろな状態が生まれ、問題が発生する。
それも増え続けて、もしかしたら人が地球で暮らせなくなるほどに。
それらは、長い年月をかけてゆっくりとしたものから、ものすごいスピードでありながら誰も気づかないものまで、さまざま。
多くの社会起業家が、その現場を知っていて、それらに対峙し、課題をひとつひとつ紐解き、解決に取り組んでいます。
その話を聞くたびに、自分はまだまだ世界のことを知らないという残酷なまでの空しさと、一方で世界を知ることのできる喜びが混在する、この矛盾との葛藤する日々を何年も味わってきました。
みんなで変える
すべては知ることから始まります。
知らないことには、変えることができません。
でも知ってしまったなら、すでに関与したともいえます。
ただ、全部を知ったところで、全部にコミットができない。
だったら、それぞれに取り組む起業家を支援していくことが僕の使命ではないかと思うようになったのです。
支援をしていく中で感じることは、やっぱり社会起業家はビジネスが、苦手。
多くの社会課題は、この経済合理性で動いている金銭資本主義の中から生まれたもの。だから、たとえ寄付でさえ、その金銭を受け取って課題を解決するということに、アレルギーを持つのです。
お金には色がある。
誰かの搾取から生まれたお金で、誰かを救うことなんてできるのか?
社会起業家は、そんな問いをぶつけられ続けます。
僕はベンチャーで起業をしてきた、いわゆるビジネス側の人間。
その僕がNPOを起業して、ベンチャーと両立しながら事業をしてきた経験を持っています。
いろいろな気持ちも、慣習も、ルールも、少しは寄り添える人でもあります。
ベンチャーの経験では、自分の未熟さとはいえ、お金の論理で会社はなくなってしまい(事業は今でも残っているが)、やっぱり自分では志半ばで終わった悔しさもあったわけです。
起業家って、無茶なことするし、無謀なこともするけど、、、純粋なんですよね。
だから、もっと人を信用したいし、お金もあれば助かる。
でも、不器用だから、なかなか上手いことやれない。
だから、すべての起業家にはリスペクトしているし、そんな純粋な気持ちを守っていくことができたなら、、、と、心から思っています。
だから、
ひとりの100歩より、100人の一歩
それが私にとって選んだ道です。
100人の一歩は、さらに100人の一歩を生み出すかもしれない。
だからこそ、起業や起業家支援を、ライフワークにしようと決めて、今日があります。
起業家のみなさん、応援してるよ!