人生におけるお金のPLとBS
起業とは、「自分に起業をする」ということ
僕は起業をこんなふうに考えています。
実際、多くの起業を目指す人、起業した起業家たちと、話をするときは、その人の人生相談を受けているつもりです。
つまりこれは、「自分自身の人生を経営する」ことでもあります。
起業家自身にも、自分の事業計画書が必要です。
PLとは損益計算書、BSとは貸借対照表…お金の話が苦手と言う人も多いかもしれませんが、お金も計画が必要ですが、お金以外の計画ももっと必要です。
PLは、日々の暮らしの中で入ってくるものと出ていくもの、BSは、その結果残るものと考えて良いでしょう。
自分の人生、最後にどんなものが残っていて欲しいですか?
たとえば、目に見える不動産やお金は、あの世には持っていけません。
子どもたちに受け継ぐとしても、相続税という形で一定の割合で世の中に戻っていきます。
つまり、ほとんどの稼いだお金は、自分を通り過ぎていくだけのもの、といえます。
お金が通り過ぎて残らないとしたら、何が残りますか?何を残したいですか?
関係性のPLとBS
人との関係性という観点でいうと、人は居なくなったとしても残りますね。
あの人がいたから、私はここにいる。
人は物理的な存在がなくなったとしても、心の中に残っていきますね。
コミュニティやチームをつくる、ということも、素敵な資産です。
人は生まれて、この世から去っていくので、コミュニティそのものはいつまでも同じ人がいるわけではありません。
常に構成は変化していきますが、実態としては存在していくものです。
関係性をデザインすることで、そこのコミュニティから何かが生まれたり、未来を変えたりしていくことができます。
社会の課題を解決するコミュニティ
政治で社会を変えるコミュニティ
環境に行動をするコミュニティ
良いものばかりとは限りませんし、残らないものもありますが、関係性(コミュニティ)は社会の資産であることには間違いありませんね。
私たちの生涯でも、どんなコミュニティに参加できたか、ということはとっても大切ですね。
環境の生き物なので、どうしても慣れるようにできていますから、コミュニティから出ることが億劫になってきます。
そういう意味では、意識的に、自分の価値観と異なるコミュニティに参加して、自分の可能性を広げていくことはとても大切ですね。
暮らしや知恵のPLやBS
知恵はいろいろな形で残っていきますね。
時代によって、その内容が常にアップデートされていきます。
過去の「正しい」が現代の「間違い」になることもあります。
ですから、形も中身も変わりながら、存在し続けますね。
常に変わり続けるその知識は、ある人にとっては必要なものであったり、ある人には関係のないこともあります。
すべての人に必要な知恵というものもありますが、悩みや解決したい方向性は、やはりそれぞれに違います。
ですから、すべての人が持っている経験という知恵が、誰かの知恵にもなりうるわけです。
いまの時代、発信も受信も自在にできるようになったので、個別で特有なことであっても、解決の糸口を見つけられる可能性があります。
そんな時代ですから、ダイバーシティが存在できるようになった、といえるのかもしれませんね。
私たちの人生は、成長の喜びが生きる源泉でもあります。
暮らしから学べることは本当に多くありますから、学びに変えていくことができれば、生涯が喜びに変えることができるはずです。
幸せのPLとBS
生涯の終わりが見えたとき、幸せの負債があるのは避けたいですね。
時間というものは有限です。
幸せには短期的なハッピーもありますが、やっぱり関係性の中で自分の存在に満足ができるような幸せも、大切ですね。
お金が残っても幸せになれませんが、関係性が残ることは幸せと思えることは大きいことでしょう。自分の成長もまた喜びであり幸せを感じます。
最終的に、人生のPLとBSは、この幸せのPLとBSではないかと思います。
人からいただくだけの幸せだけではなく、誰かに分ける幸せのほうが、より人は幸せと感じるようです。
私は、起業というものが、自分にも社会にも幸せをもたらすものだと考えています。
幸せの研究の中では、次の4つの行動が幸福を高めると言われています。
誰かを助けようとする : 対人援助行動
課題を解決しようとする : 課題遂行行動
自分の意志で決めて行動をする : 自己決定行動
チャレンジをする : 挑戦行動
出典「ウェルビーイング促進行動目録」より筆者がアレンジ
これはまさに、起業マインド(アントレプレナーシップ)であり、その行動です。
特に、社会的フィールドで行動をしたほうが、対人救助や課題遂行の場面にも出会いやすいですし、リアルに感じることも多いことと思います。
自身の想いで起業して社会に取り組んでいくことで、自身の人生の、最終的なPLやBSは変わってきます。
ぜひ、自分自身を経営していく観点から、何が残ると幸せか?ということを意識してみると、残るものが変わってくるのではないかと思います。