キャリア越境の源泉とは? 業界、職種、テーマ、地域の越境…本当に恐れているのは何?

メッセージ

「色々なこと、幅広くやってますね〜」

昔から、そんなことをよく言われます。

本人にとっては
「色々」でもなければ
「広く」もないのですが
あまりに言われるので、自身をふり返ってみました。

業界、業種、それ以外のフィールドなど、いろいろな「分類」でふり返ってみると、そう言われても仕方がないのかもしれません。

最近では業種や領域を越えたキャリアの取り組みを「越境」と呼ぶそうで、「いろいろなことを広くやっている」ように見える私に(笑)、質問をいっぱいいただきます。

キャリアでいえば、「パラレルキャリア」
起業家でいえば「パラレル(シリアル)アントレプレナー」

20社ほどの起業、10社ほどの経営、上場企業からNPO、社員からボランティアまで、あらゆる契約形態を経験している中で、
「なぜそれができるのか」「怖くないのか」「うまくいくのか」「理解は得られるのか」
など、聞かれると整理されてきたことがあるので、少しまとめてみたいと思います。

業界の越境

私は業界をあまり分類したことがなく、そもそも意識をしていません。
なぜなら、産業も経済も繫がっているし、その一部だからです。
もちろん作法や事業モデルは違うにせよ、何も変わらないと考えています。

通信、音楽、エンターテイメント、教育、宝飾、人材採用、人材研修、人材開発、人材斡旋、福利厚生、森林、マーケティング、コンテンツ配信、販売/EC、子育て、福祉、M&A、洗剤、地域づくり、事業承継・・・

書いてくうちに、何を分類しているかわからなくなってきたので、このへんで・・・
経済や産業に境界線をつけて分類していることにあまり意味がありません。

若者に車が売れなくなったのはゲームが原因だと言われたように、同じ業界内での競争ではなく、「人それぞれに、生きている時間とお金の分配基準が変わってきている」わけですから、業界というのはもはや関係がないのだと思います。

業種の越境

私は18歳で起業して以来、経営という仕事をしていますが、この経営という内容は、事業の全てといっても過言ではありません。組織が小さければやる範囲は多くなるので、ほとんどが雑用のように分類できない業務になってきます。

今でも、財務やマーケティングの数字は毎日のように見ていますし、郵便物の封を切って中も見ていますし、採用だって営業だって、時にはサーバーやHPの構築すら、自分でやることがあります。
業務にも境界線やラインがそもそもありません。

自分でやれることが多くなると、人にお願いできることが増えます。
そしてお願いされた人の気持ちもわかります。
もちろん有限の時間で全てはできませんので、どうやって効率化していくかとか再現性を自分で見つけ、そしてITなり人を頼っていきます。

テーマの越境

森林、子育て、起業、ジュエリー・・・

一見、違うことのように見えるテーマも、社会課題解決、価値創造というテーマに括ればすべて同じ中に入ってきます。

テーマはそれぞれの人の感性。分類そのものに意味がありません。

僕にとっては、シンプルに1つのテーマを追いかけているだけです。
それが見つかったのはとても良かったし、それは誰でも見つけられるものです。
見つけるためには、それこそ越境が必要で、いろいろなテーマの中に入って、自分の感情がどう動くのかを知って、受けとめて、そして判断していくのが一番です。

私は長く、心理学やEQ、脳化学や行動科学といったテーマで人材育成の分野にいました。いろいろと調べていくと、興味深く、それを事業にしてたくさんの会社を経営することになっていった・・・流れの中でそうなったのです。
その後にもストレスやメンタルヘルスの分野も経験できたので、人の感情から感性がどのように人を動かしていくのか、ということにとても興味があります。

地域の越境

私は名古屋の生まれで、高校を卒業し、誰も知り合いのいない東京に出てすぐに起業しました。そして、29歳で地球一周をし、その後も含めて30カ国くらいをまわりました。
30歳を過ぎたあたりでコモンビートというNPO法人をつくり、全国でミュージカルの興業をしてきました。これで生まれた数千人の仲間は全国・世界で活躍しています。

もし、生まれながらの1つの地域で50年間育ってきたなら、きっと起業はしていないでしょう。

場所が変わると、文化も人も変わります。
それなりにストレスのかかることがたくさんありますが、仲間がひとりでもいれば、とっても安心することってありませんか?
日本中に、世界に仲間が点在しているので、どの地域も他人事とは思えません。

仮に、沖縄に台風が来たら、「沖縄の人は大丈夫かなぁ」ということではなく、「宮古島の安藤とそのヤギは大丈夫だろうか」と思うわけです。

世界を飛行機で旅をすると、「点」しか感じられませんが、私は船で一周をしているので、「線」で地球を感じています。
「ぐるっと、地球の表面をなぞっている」という感覚があるのですね。

分類しないマインド

最近、habitという曲が好きです。

SEKAI NO OWARI「Habit」
SEKAI NO OWARI「Habit」映画『ホリック xxxHOLiC』主題歌Director:池田大Choreographer:パワーパフボーイズ先行配信&シングルの予約はこちらから→ ニューシングル「Habit」2022年6月22日...

君たちったら、なんでもかんでも、
区別・分類・ジャンル分けしたがる・・・

SEKAI NO OWARI「Habit」

僕らが持っているこの「分類習性」こそが、越境できない原因なのだと思います。

そこに何の線もないのに、
そこに何の谷もないのに、
見えない山や壁をつくって、
行かない理由を作っているのかもしれません。

日本は海に囲まれて、国土の8割近くが森です。
日本も世界も、領土の境目は海や山、川だったりすることが多いですね。

これは、僕らがもう20年近くやっているコモンビートのテーマでもありますが、異なることをポジティブに捉えることができず、異なることへの恐れから来ているのかもしれません。

実際には業界や業種、テーマや地域は、見えている境界線ですが、実際には、見えない境界線である文化や風習、言語、そして人種といった、これまでに経験をしたことのない空気に飛び込むことに抵抗があるのかもしれません。

異なることが楽しい、見えている違いはあれど見えないものは同じ、
そんな風に思えるマインド、それこそが越境の源泉ではないかと思います。

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