誰も、急には、走れない
あなたは準備運動をしていますか?
ストレッチ
関節のほぐし
深呼吸
今からマラソンを走るとしたら、準備運動は必ずするはずです。
でも、短距離だと思うと、これがなぜか、怠ってしまうのです。
準備運動くらいなくても、大丈夫だろう
でもその短距離は、実際のところ
走ってみたら、長距離だった
急な坂道だった
高い階段の連続だった
カーブの連続だった
障害物だらけだった
そんなことがあるかもしれません。
そして、
短距離だからと気を抜いて、
準備運動を忘れてしまった
ということで、捻挫をしたり、想定もしなかった不調が訪れたりします。
この短距離というのは、自分が見込みが「簡単・容易なもの」という意味でもあります。
短い距離だから、大丈夫だろう
その見込は想定内で、準備運動をするほどでもないと、高をくくってしまうのです。
心の準備運動と助走の大切さ
準備と準備運動は少し違います。
トレーニングをしようと思ったとき、トレーニングウェアやシューズを履いて準備をしますが、実際の運動との間に、準備運動というものを入れます。
これは、体を運動に慣らすための時間ですよね。
ストレッチをしたり深呼吸をしたり。
この準備運動の時間はとても大切です。
仕事では準備も大切ですが、準備運動も大切です。
準備とは資料や環境を揃えることですが、準備運動は会議や交渉などが目的どおりに進められるようにするための「慣らし」のようなものです。
いくら準備が万全であっても、その準備が思うとおりに行くわけではありません。
準備が万全ですぐに終わる会議 = 短距離
だと思っても、
いろいろな課題が勃発し結論が持ち越されるような会議 = 長距離
に変わる恐れがあります。
これが起こる原因は、会議の直線と直後の準備運動にポイントがあります。
準備運動をするというのは、自分だけのことではありません。
会議に向けて関係者の準備運動も必要なのです。
会議に参加する人への情報伝達や着地点など、予め内容や方向性を伝えておくことで、心の準備運動ができます。
多くの人は事前にメールや資料だけを渡して終わりですが、その目的は心の準備運動です。
渡せば良い、というものでもありません。
そして、会議に入ってからも準備運動が続きます。
忙しい人は直前まで異なる会議に出ていることも多いので、その会議の席に座っても、まだ前の会議のことを考えていたり、その会議がどういうものであったのかということを思い出すまでに時間のかかることがあります。
ですから、会議に入っても、思い出したり集中してもらうためには、継続した準備運動が必要です。
実際にスタートしてからの準備運動は、助走です。
走り幅跳びの助走、飛行機が離陸する時の助走など、本来の目的のために予め走ってスピードを乗せておくことが必要です。
会議が始まっても、
気が上がってて落ち着いて居なかったり
資料が足りなかったり
空調や採光が良くなかったり
メンバーが揃っていなかったり
議題や目的を共有できていなかったり
こんな状態では本題に入れませんよね。
参加している関係者が全員、
会議の流れに乗るまでの間、
様子をよく見て、
不都合や不具合がないかなど確認し、
そこから本題に入る
ということがとても大切なのです。
人間関係にも準備運動や助走には時間が必要
メダカや金魚の水を一気に変えると、死んでしまうのはご存じですか?
水というのは私たちの目で見ている限りでは同じように見えますが、水質が変わることで体が慣れずショックで死んでしまうことがあります。
人間でいえばヒートショックのようなものかもしれません。
環境に自分や周囲を慣らしていくということは、とても大切な時間です。
たとえば私がいろいろな会社のお手伝いをする時に、とても気をつけることがあります。
それは、現在と過去を尊重することです。
もちろん課題があってそれを解決したいという目的で私はその組織に参加していくのですが、私は部外者。
部外者の私は、そこに行けば課題が山ほど見えてきて、喉元まででてきますが、それは抑えます。
なぜなら、それはそこにいるみんなも、実はわかってます。
だから、頭ごなしにそれを指摘したところで、自分たちを否定されたかのような気持ちになり、反発心が生まれます。
部外者が反発心を持たれたら、そこでTHE ENDです。
ですから、まずすべきことは、人との交流を持ち、関係をつくるところからです。
私もこの準備運動や助走を怠ることが、幾度となくありました。
自分に期待されていることが大きければ大きいほど、頑張りすぎるのです。
肩に力が入り、義務感で仕事をして、総スカンを食らうこともありました。
ある時に、自分ではないそのような姿をして
なぜみんなはわかってくれないんだ!
と叫んでいる人を見て、私はその準備運動と助走の大切さに気づきました。
まずは、本音を言ってもらえるような状態になって、その課題を肩代わりして一緒に解決する仲間になるというプロセスを踏みます。
このプロセスが助走であり慣らしです。
準備運動や助走の時間を想定しておく
友達でも恋人でも、心の距離を縮めていくのには時間がかかります。
仕事に関わらずどんなことであっても、やはりすべては人が関わって作っています。
私たちが何か時間を見積もらなければならないときには、やはり準備運動や助走の時間を想定しておくことが必要なのです。
自分はすでに高速モードに入っていても、相手はまだのんびりモードかもしれません。
いきなり本題に入っても、心がついてこなければ、やはり歩調を合わせることはできませんし、目的にたどりつきません。
焦る気持ちを抑えて、少し周りを見渡してみてはどうでしょうか。
あなただけ、戦闘モードになっていることがあるかもしれません。
あなたが時間を管理する立場であれば、準備運動や助走の時間を本題の前に見込んでおくことで、時間を思い通りに使うことができるでしょう。
後片付けもそうですが、本題となることの前後に時間の余裕を設定することは、とても大切な段取りの1つなのです。
【今日の段取リズム】
慣らし時間をつくって、心にゆとりをもとう
友達でも恋愛でも、心の距離を縮める時間というのはとても大切なことです。
いきなり本題!と入っても、やっぱり冷めてしまいます。
フィット感を感じる時間
合わせるために微調整をする時間
一時的なことか継続的なことかを観察する時間
慣らし時間というのは、どうしても少し時間がかかります。
焦っている気持ちがあって、それを出したところで、それが良い方向にいく確率はとても低いものです。
ですから、少し心にゆとりをもって、
慣れるまで少し様子を見よう
と思えば、温かくその状況を見守ることもできるはずです。