レシピ通り作っても、美味しいとは限らない
料理(調理)をする人が段取りをする時にまず最初に考えることに、材料、食べる人、調理、食事環境、食事後などの視点がありますが、実際の調理の段取りにおいても考える事が多くあります。
レシピ本などで書かれている手順を、
そのまま作ればいいのでは?
もちろんそうかもしれませんが・・・本当にその通りに作って美味しいでしょうか?
レシピとは、誰かが考えた調理方法の一例です。
味付けも、その人が好む、あるいはみんなが好みそうな味付けの一例です。
しかも、塩ひとつとっても味が異なりますし、野菜も味は異なります。
ですから、レシピの文字を読んでそのまま調理ができるとは限りませんし、美味しいかどうかは別モノです。
調理は、ライブ。レシピは、ガイド。
いろいろな調理が同時並行に走っているので、それをレシピという文字で完全に表すことはとても難しいのです。
あれやって、これをやりつつ、そっちが準備整ったら、あれとこれを順番にそっちへ入れる・・・
みたいな状態ですよね。
ライブな状態では時間を止めることができないので、たとえば火加減などはとても繊細な判断になります。
火の通りが悪いと腹痛を起こしてしまったり、火が通り過ぎて焦げて美味しくなくなることもあります。
こんな風に、同時に進んでいる料理を手順で書き尽くすことはなかなか難しいのです。
料理とは、様々な状態をリアルタイムに判断していき、目的に到達させることです。
それは段取りそのものです。
また、それぞれの家庭で、その時々で、レシピに合う原材料や環境がすべて整うとも限りません。
たとえば、
「薄口しょうゆ」と書かれていても、普通の醤油しかないかもしれません。
醤油しかなければ、少し塩分の調整が必要になります。
「小松菜一束」と書かれていたとして、手元にあるものがどういった量と状態の一束なのかもよくわかりません。
野菜は茎の太さや本数、長さ、採れた季節などの差もあるでしょう。
「塩をひとつまみ」といっても、いったいどのくらいつまむのがよいのでしょうか。
「塩少々」「コショウ少々」・・・
考えればキリがありませんね。。。
また、茹でる鍋の大きさによっても火の通りは変わるでしょうし、火加減といってもガスや電気IHによっても異なり、また、人によっての解釈も様々です。
そして一番大きいのは、
作る人の好み、食べる人の好み
が違います。
濃い味が好き、固めが好き・・・
書いてあるレシピ通りに料理することが目的ではないのです。
レシピがマニュアルのように思えるかもしれません。
でも、再現性は作る人に委ねられているのです。
つまり、
料理する人の段取りがしやすいように書かれている参考書
なのです。
料理は手段、美味しい食事が目的
その参考書を完全なものだと思ってしまうと、本来の目的を忘れてしまいます。
レシピどおり作ったのに美味しくない・・・
それはとっても残念ですよね。
一番大切なのは目に見える、リアルなその場です。
レシピに合わせるのではなく、現場にレシピ(ガイド)を合わせるということが大切なのです。
料理は手段であり、段取りです。
目的は、食べる人が喜んでくれること。
レシピに頼りすぎて、食べる人のことを忘れていませんか?
食べる人の好みによってアレンジするのが料理です。
料理のように、仕事も生活も様々な段取りも同じです。
レシピ通り、マニュアル通りに進めても、相手が喜んでくれるとは限りません。
最終目的、相手に合わせて最善を尽くしていくことが、段取りなのです。