「4つのワーク」で、人生の活動領域を整理する
仕事とプライベートは別、という人は多くいると思います。
なぜ、別にしなければならないのでしょうか。
それはたぶん、プライベートの時に仕事を持ち込まれてイヤな経験をしたからではないでしょうか。
たしかに、家族の時間を過ごしている時にひとり仕事をしているとか、仕事のことを引きずって家族の会話の中で愚痴が出てくるとか…そういうのはイヤですね。
以前に「仕事とプライベートは別、なんて真っ赤な嘘」という本で私が取りあげられたことがあります。
いまの私の生活は、仕事とプライベートが、完全にモザイク状になっています。
こんな感じで、仕事もプライベートもごちゃまぜです。
最近ではワーケーションという言葉がありますが、それを自宅で時間を細切れにしてやっているようなものかもしれません。
(実際のワーケーションは、家族は遊んでひとり仕事をしている、みたいなことも多いみたいですが…😅)
しかも、毎日。
自分自身では、特に活動を分けて考えることはしていなかったのですが、あるとき、チャールズ・ハンディという方が提唱している人生の活動領域の「4つのワーク」というものを見て、「自分が無意識でありながら活動している領域は、この4つだ!そうだそうだ!」という感動をしたのを覚えています。
この4つのワークを整理し活用していくことで、自身の人生キャリアを整理し、これからをデザインしていく時にとても役に立ちます。
(ここでいうワークとは活動あるいは活動領域という意味)
有給ワークの領域
お金のための活動です。雇用されたり、起業したり、副業や兼業をするなどして、対価として報酬をもらっている領域のワークです。
貨幣価値に変えやすい(対価を支払いやすい)スキルのようなものになるかと思います。
家庭ワークの領域
暮らしのための活動です。家事や育児などにあたるもので、そのほとんどは無給であり、日々そのものの領域です。
私はこの暮らしのスキルは、生きていくチカラに直結している感覚があります。
学習・趣味ワークの領域
自分のための活動で、自身の学びによって高めるもの、喜びを得るものなどなどです。学び直しなど、現在のリカレント教育などでこの領域です。
有給ワークと家庭ワークで時間を使い切ってしまうことが多くなりがちですね。
ギフトワークの領域
誰かのための活動で、ボランティアや地域活動などです。地域やコミュニティとの繫がりの中から、自分ができることを社会のために持ち出していく領域です。
自分が住む地域や社会、そして未来のために自分に何ができるだろうか?と考えることはたくさんあるかと思いますし、できることが本当はたくさんあります。ギフトですからそこに見返りはなく、誰かのために未来のためにという形のものです。
活動領域が、重なり合う
実際に当てはめてみると、どの領域に書いたら良いかわからなくなる場合があります。
私も多くのことがどの領域のことなのかがわからないことが多いので、きっと重なりの部分が大きいのではないかなと思っています。
極端かもしれませんが、こんな図です。
どこかの領域でやっていることも、いつか別の意味を持つという感じです。
私は自分にとっても社会にとってもWell-beingであるにはどういう選択肢が良いのか?ということをずっと考えてきました。
そんな中で、この4つのワークをどのように捉えていくのか、その考え方と自身について整理をしてみました。
有給ワークの考え方
自分のスキルの何がお金に換えられるのか?
多くの場合、それを決めるのは自分ではありません。
そして、自分が必要とするお金が、会社員の場合などは一箇所から入っているという現実があります。
この状態は、依存です。
他の選択肢がないのですから、自分が選択をしているというより、それしかない、という状態です。
しかも多くの企業はまだ副業禁止ですから、更に会社への依存度を高めることになります。
選択肢がなく、選択ができないという状態は、Well-beingからとても遠い状態です。
これを解消するためには、まず、自身の収入を複数から得られるようにする準備をすることです。その可能性を高めるために、金銭の大小にかかわらず何かをはじめるしか方法はありません。
最初からお金になることはなくとも、たとえ無償でもやってみることで、新しくビジネスになりそうなことに触れる機会がたくさん見えてきます。
また、自分の興味が人の興味につながったり、自身の学びを活かすことも新しい収入に繫がることがあるかもしれません。
家庭ワークの考え方
家庭というのは生きていく暮らしのこと。ですから、ビジネスにおけるマーケットの中で消費者側の立場でもあります。そして昨今の社会課題のほとんどは、こうした暮らしの改善が目的であり、生活者としての視点がとても大切です。
意識をして暮らしすことで、経済のことや社会のことに触れられますし、世の中の流れを実感することもできます。どうしても会社やビジネスは現場と離れてしまい実感が持てないバーチャルなことが多いので、消費者の現場側に立つという視点でも学んだり楽しむこともできます。
また、加齢とともに健康の問題は切実になってきます。自身や家族の健康に意識を向けていくことで、学びに繫がっていくこともあります。同じような悩みや課題を持った人も社会にはたくさんいます。自身がそうした知識や経験をネットで探すように、自らの経験が人の役に立つこともたくさんあります。
ですから、暮らしと向き合うことはとっても大切です。
学習・趣味ワークの考え方
自分にとって必要な学びを見つけることは難しいものです。
自分の「足りないもの」と「補うもの」がわかっていれば、何の苦労もしないのですが、実際には、足りないモノの誤解と、補うものの選択を間違えることがほとんどです。ですから、自分自身が学びによって成長できない、学びが持続しないということが起きます。
それに加え、楽しむという点が足りないのかもしれません。
楽しいことでなければ続きません。それは仕事ワーク、家庭ワーク、ギフトワークにおいても、発見や探求に繫がる好奇心に火が付けば、人は勝手に学びはじめます。
そして学んだことや苦労したこと、挫折したようなポイントも、誰かが待っている情報になることも多くあります。
アレコレ分類して選ばず、自分の心が躍るようなことを見つけるために、まずはいろいろとやってみることが大切ですね。
ギフトワークの考え方
ギフトというと、ボランティア活動と思いがちですが、報酬などの対価をもらわないものはすべてギフトです。見返りを求めず、どこかの誰かのために自分自身でやれる恩送りをしていくことです。
どうしても人は見返りを求めたがりますし、損得勘定をしてしまいます。
この時間があれば、もっと稼げたのに。
いつもお金をもらっていることなのに、なんで無償でやるのか。
いまある有給ワークの枠内で考えればそうかもしれません。でも、有給ワークの幅を広げる可能性があったり、有給ワークでは得られないような金銭では計れないような報酬があったりします。
会社では自分自身がどのくらい会社や社会に役立っているのかが実感できないこともたくさんあります。
自分自身が必要だと認められたり、役に立ったとか喜んでもらえたという感覚の得られる「自己有用感」ってとても大切なのです。
お金でそれを計ってもらっていると勘違いしそうですが、実際にはお金では変えられない価値を、あなたが誰かに与えることができるのです。
この自己有用感が、すべての活動領域の原点ではないかと思うのです。
人生を豊かにするために、混ぜあわせる
私はこの活動領域を意識しながらも、あえて混ぜ合わせるようにしています。
この4つを意識をすることで、最近足りないな…ということを補うこともできるからです。
また、ひとつのことをはじめる場合にも、この4つの視点で考えて、どのように役立てるのか、可能性があるのかを検証することもできます。
もし、ある1つの領域にしか影響しないのであれば、私はつまらないので選択しないでしょう。
広がる可能性があるからこそ、やってみる価値はあるのだと思います。
稼ぐことと、暮らすこと
社会のことと、自分のこと
お金のことと、関係性のこと
実際には切り離すことができないことばかりですから、領域は重なり合い、ひとつひとつはモザイクのような状態になり、混ざり合っているのです。
自分の人生を豊かにしていくためには、むやみに分けないことです。
生きることが楽しいと思えるような趣味となり、仕事が社会をよくすることに繫がれば、いろいろなことが仕事やお金にも自然と繫がっていきます。
そんな意識でいると、同じような考え方の人と出会ったり、これまでとは違う価値観に遭遇してきます。
これによって、人生の新しい広がりと可能性が生まれてくるはずです。