料理で理解する段取り
10回目の最終回は、料理する環境から考える人生の段取りについて。
料理というのは自分のチカラで作っているようですが、実際には
整えられた(=段取りされた) 環境
で作っています。
包丁
コンロ
冷蔵庫
電子レンジ
オーブン
炊飯器
鍋
おたま
おろし器・・・
様々な道具があり、設備があります。
いってみれば、道具や設備があるからこそ、料理ができるのです。
そして、それらを使ってつくるための食材もまた、整えられた環境から調達してくるのです。
栽培
養殖
収穫
捕獲
カット
梱包
配送
陳列
販売・・・
生命の営みとそれを食べられるものとして準備する(=段取り)
があってこそ、私たちは料理ができ、食事ができるのです。
食材が買えなければ、私たちは料理ができません。
私たちが仕事をしている環境はどうでしょうか?
会社があり、
経済があり、
法律があり、
国のシステムがあります。
長い歴史の中で、様々な課題があり、それらを克服し、改良され、今日があります。
社会が成長・進化すればしただけ、また歪みが生まれ、新しいシステムができていきます。
こうした用意(段取り)された環境があるからこそ、私たちは仕事ができます。
私たちが生活している環境はどうでしょうか?
家があり、
鉄道があり、
車があり、
水道があり、
電気があり、
警察がいて、
消防署があり・・
そして、
空気があり、
水があり、
森があり、
海があり、
地球があります。
生活できる環境が準備(=段取り)されています。
このような段取りがなかったら、私たちはどのような生活をしているのでしょう。
1つでも欠けたなら、私たちの生活はバランスを失ってしまいます。
震災が起こった時、ライフラインのありがたさが身にしみました。
計画停電の時には、電気が使える時間で料理を作りました。
電子レンジで急いでほ乳瓶を消毒しました。
停電になったときには、ろうそくをつけ、ガスで料理を作りました。
ランタンの火で、食事をしました。
停電になると水も出ないので、水は事前に溜めておいたものを使いました。
冷蔵庫の中がとても心配になりました。
安心して、おもいっきり料理をすることなど、できませんでした。
人は環境の生き物といいますが、環境がなければ死んでしまう生き物でもあります。
動物の生まれた赤ちゃんは自分で生きていけますが、人間はお母さんが育てなければ大人になれません。
ですから人は、知恵を使ってどのように生きていくか生活をしていくかという段取りを繰り返してきたのでしょう。
段取りとは、階段のイメージがピッタリですが、そこには1つ1つの段があります。
つまり、
段は1つ1つの段の上に積み重なっている
という構造なのです。
ですから、
1つ上の段に移っても、1つ下の段が抜けたら、段が崩れる
ということがあるのです。
つまり、
段取りの前提が崩れる
のです。
もちろん、すべての段取りがそういうわけではありません。
クリアすればその段を必要としない段取りもあります。
でも多くの段取りは、そうした1つ1つの段の積み重ねで、
段取りは層のような状態
になっているのです。
ですから、1つ1つの段を確実にクリアしていき、すべての段の条件を満たすというイメージが必要です。
私たちの人生も同じではないでしょうか。
過去は消えるのではなく、積み重なっているのでしょう。
もう見えない地層の下になっているかもしれませんが、それがあるから確実にその上の層ができるのでしょう。
子育てをしていると、強く感じます。
もう記憶にないことも、現在の記憶に影響をしているということを。
すべての段取りは、段取りの積み重ねです。
地層の下にある段取りが無駄だったということは決してありません。
いろいろな段取りが影響しあい、そして新しい段取りが生まれていきます。
ですから、1つ1つの段取りを精一杯していくことが大切なのだと思います。
私たちにはそうした文明や歴史によって段取りされた現代に生きています。
地球の
創成から様々な段取りされた環境で生きています。
私たちの段取りも、未来に繋がっているのです。
ひとりひとりの人生の段取りが、未来の地球を段取りしているのです。