段取りの話をすると、いつも聞かれることがあります。
それってマニュアルのことですか?
マ、マニュアル・・・・!?
マニュアルというのは、取扱説明書のように手順などが書かれたもののことですね。
営業マニュアル
お客様対応マニュアル
設備操作マニュアル
メール文面マニュアル
世の中、マニュアルだらけのような気になってしまうほど、マニュアルが多いですね。
では、段取り = マニュアルなのでしょうか?
・・・そのように捉えることもできますが、イコールではありません。
段取りとマニュアルを整理するとすれば、
段取りのある1例をマニュアルとして記述することは可能
ということはいえると思います。
たとえば装置のようなものは、操作手順の1つとしてマニュアルを見ることで目的を達成できます。
たとえば、テレビのリモコンであれば、
電源スイッチを入れて
チャンネルの番号を押す
これで目的のテレビのチャネルを映すことができます。
このように繰り返し同じことができる=再現できるということは手順(マニュアル)にすることができます。
しかし、例外があると、このマニュアルは活かすことが難しくなります。
たとえば、子どものイタズラで、音量が最大になっていたとします。
そこにテレビのリモコンでスイッチを入れてチャンネルを合わせたいとします。
ですが、電源を入れた途端、大音量で音が鳴ったとしたらどうでしょうか。
電源スイッチを入れて
音量を下げてから
チャンネルの番号を押す
ことが必要ですね。
チャンネルの番号を確かめている間、大音量が鳴り響くことになります。
この例外は、テレビのマニュアルには書かれていません。
マニュアルに、
もし電源を入れて音量が大きいと感じたら音量を下げてください。
と書かれていることはないでしょう。
あるいはすでに目的のチャンネルが表示されている場合に、
もし電源を入れて目的のチャンネルが表示されていたら、チャンネル番号を押す必要はありません。
とは書かれていませんよね。
電源を入れた時の状態は無限にありますから、それをいちいちマニュアルにすることなどできません。
こんな例を出すと、
そんなものマニュアルに書かれているわけない!
という人がいるでしょう。
でも、テレビのリモコンではなく、普段の仕事では、
マニュアルに書かれていないからわからなかった!
ということを理由にする人が多くいるのです。
ちょっとした環境の違い、例外をすべてマニュアルにすることはできません。
マニュアルは、段取りや手順の1つの例です。
ですから、方法はいくつもあり、また、例外もたくさんあり、環境によって変わることを考慮すれば、無限の選択肢があるわけです。
いろいろな成功本や指南書は、ある1つの成功体験です。
それをマニュアルのように捉えても、状況が違うわけですから、再現はできないのです。
環境が変わり、条件が変われば、ゴールが変わることもあります。
そうした中で、そのゴールにたどり着くためのの様々な可能性を組み立てていくことが、段取りといえます。
ですから仮に、段取りがマニュアルであるとするならば、
段取りは、常に変わり続けるマニュアル
といえますから、すでにみんなの認識にあるマニュアルとは呼べませんね。(笑)
また、段取りがマニュアルでないように、マニュアルは段取りではないのです。
マニュアルは段取りのある一部分や単なる一例にすぎないのです。
ですから、何か自分なりのゴールを見つけたら、まず、
マニュアルを捨てる
ことをオススメします。
マニュアルではなく、
ゴールにたどり着くための段取り
を実践していきましょう。