アルバイト/パートでも有給休暇は取得できる

アントレプレナーシップ

有給休暇(年次有給休暇)とは

有給休暇とは何でしょうか?

有給休暇は、会社毎に決める就業規則とは異なり、労働基準法によって定められた労働者の権利です。

つまり、会社の説明があろうがなかろうが、アルバイトだから有給はないとか言われても、法律によって定められているので、アルバイトやパートでも有給休暇を取得することはできるのです。

社員にはあってアルバイトやパートにはない、と思われるのはなぜでしょうか?

これは、単に会社側の思い込みの場合もありますが、多くは、都合よく説明していないだけです。

また一般的にアルバイトが有給を取ったなんで聞いたことがないという風潮もあり、また、アルバイトやパートという条件付きで働いている中では、立場が弱いために、主張をしないでいるということも多くあります。

アルバイトという言葉をおさらい

アルバイトだから有給休暇がもらえない

このアルバイトという言葉にはどういった意味があるでしょうか?

アルバイトという言葉と対照的に使われる正社員との違いを確認しましょう。

アルバイトは時給、正社員は月給?

アルバイトとは時給で働くことである、というのは間違いです。

月給制のアルバイトもあれば、日給月給制のアルバイトというものもあります。

ですから、アルバイトはすべて時給であるということでもありません。

アルバイトの労働時間は短く、正社員はフルタイムで働く人?

アルバイトは、正社員に比べて働く時間が短い働き方、ということでもありません。

アルバイトであっても、一日8時間勤務する人もいれば、それ以上働く人もいます。

ですから、アルバイトは働く時間が短いからアルバイトであるということではありません。

アルバイトは働く期間が限られていて、正社員は働く期間が限られていない?

一般的にそういうケースが多いです。

アルバイトであっても、働く期間の定めがあっても自動更新などされていることがほとんどです。

社員であっても契約社員などは契約期間が限られていることもあります。

正規雇用、非正規雇用という言葉でいえば、アルバイトは非正規雇用です。

アルバイトのおさらい

アルバイトの一般的な認識として、

時給で、労働時間が短く、働く期間が短い

ということがあるかもしれませんが、そうでもないケースがあるということです。

正規雇用の正社員と同じかそれ以上に、

月給で、労働時間が長く、長い期間働いている

場合もあるのです。

この場合のアルバイトは、もはや社員と同じような状態です。

ここまでのフルタイムでなくとも、フルタイムに近いアルバイトの場合には、正社員と同じような恩恵が受けられる場合があります。

その1つが有給休暇なのです。

有給休暇の取得できる日数

有給休暇を取得出来る日数は契約内容で異なります。

フルタイムで働く人の場合の有給休暇日数

フルタイムで働く人の場合の有給休暇日数は以下のとおり決められています。

勤続期間
6ヶ月
1年半
2年半
3年半
4年半
5年半
6年半
有給日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

つまり、入社から6ヶ月目で10日与えられるということです。

この有給休暇の付与は無条件の権利ですので、会社が何と言おうが権利を得たことになります。
(但し、6ヶ月間の労働日数などを含めて最低限の条件はあります。)

こちらはフルタイムということですので、契約条件に関わらずフルタイムで働く人はこの有給日数が与えられます。

つまり、フルタイムで働くアルバイトであれば、正社員と同じ有給休暇の条件となります。

働く時間が短いパートやアルバイトで働く人の場合の有給休暇日数

フルタイムで働かなければ有給休暇はもらえないのでしょうか?

決してそうではありません。

フルタイムでなくとも、一定の条件をクリアすれば、有給休暇は取得できるのです。

一定の条件と与えられる有給休暇日数は以下のようなものになります。

週間
労働日
年間
労働日
6ヶ月
1年半
2年半
3年半
4年半
5年半
6年半
4日 169~
216日
7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121~
168日
5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73~
120 日
3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48~
72 日
1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

このような表になっていますが、ちょっとわかりにくいのでわかりやすい例で説明します。

週に3日労働の場合の有給日数計算

週3日ですから、年間52週あるので、すべての週で働けば156日になります。

この方の場合、半年間働いたらそこで有給休暇が5日間、その1年後に有給休暇が6日間付与されます。

週に1日労働の場合の有給日数計算

週1日ですから、年間52週あるので、すべての週で働けば52日になります。

この方の場合、半年間働いたらそこで有給休暇が1日間、その1年後に有給休暇が2日間付与されます。

なんと、週に1日働いても有給休暇はもらえるのです!

有給休暇でもらえるお金、有給休暇の条件

有給休暇とは、休んでも働いたことになる権利です。

ですから、時給で1日8時間勤務であれば8時間分の時給がもらえますし、時給で1日4時間勤務であれば4時間分の時給がもらえるのです。

厳密にいえば、お金がもらえるということではなく、休んでももらえるということです。

つまり、休むことを宣言しなければ、有給休暇分としてお金をもらうことができないのです。

有給休暇分をお金で払うという休暇の買取を行う会社もありますが、通常の場合にはこれは応じることができません。

ですから、在席をしている間に、有給休暇申請をして休み、給与明細で労働日数が計算されて給与計算されているかということで確認を取ることになります。

また、有給休暇取得のための条件というものはありません。

どんな個人的な条件であっても、有給休暇は取得できる権利を持っていますので、休暇理由によって付与されないということもありません。

有給休暇の発生と有効期限

有給休暇は、計算表にあるように、入社から半年で付与され、それ以降1年毎に付与されます。

ですから、入社から1年で辞めたとしても、半年の時点で付与された有給休暇を消化することしかできません。

有給休暇を付与前に前もって使うことはできません。

また、有給休暇には有効期限や上限があります。

付与された日から2年間で消滅するということになっています。

つまり、入社半年で5日間もらえた有給休暇は、その2年後(つまり入社から2年半後)には消滅0になります。

もちろん、1年半後にもらえた6日間や、2年半後にもらえる7日間は有効です。

ですから、2年半後に全く使わなかった時にはどのような計算になるかというと、

5+6+7-5=13日間

解説すると、

5(半年目)+6(1年半)+7(2年半)-5(半年目の付与ぶん) = 13日間

となります。

この間に2日間有給を消化したとしても同じです。

5+6+7-2-3=13日間

解説すると、

5(半年目)+6(1年半)+7(2年半)-2(消化分)-3(半年目の付与の残りぶん) = 13日間

となります。

アルバイトの有給休暇の使い方

アルバイトの方はこの情報を知って、

有給休暇があるなら、今からでも有給休暇を使いたい!

と思うことでしょう。

うまく有給休暇を使うための準備をしましょう。

前例があるか確認する

「これまでにアルバイトで有給休暇を使ったことがある人がいるかどうか」を会社の人事かどなたかに聞いてみましょう。

これまでにアルバイトで有給休暇を取得した人がいれば、きっと受け入れてもらえるでしょう。

そうでなく、「アルバイトに有給休暇なんてないよ」という姿勢であれば、少し手こずる可能性があります。

アルバイトという弱い立場もあるので、その点ではうまくやる必要があると思います。

会社に情報として流す

会社に対して、突然、

「アルバイトにも有給休暇を使う権利があるので使わせていただきます!」

と正面突破をしても、きっとビックリされるでしょう。

あー、厄介なアルバイトが来た・・・と思われるかもしれません。

これは立派な権利です・・・が、ちょっと待ってください。

あなたはそれがどうであれ、有給休暇が取れればそれでいいのですから、あまり相手を感情的にさせても得なことはありません。

会社もそういったことに無頓着だったり情報や管理がおいついて居なかったりすることもあるでしょう。

あなたの第一歩で他の人達も含めてアルバイトに有給休暇が取れるようになったら、それでいいじゃないですか。

ですから、会社へ上手にそういった情報を流して考えさせるのが良いと思います。

「私の友達の会社、アルバイトでも有給休暇があるらしいんですが、うちの会社ってそういうのなんんですかね~?」

などと、とりあえず情報として与えて考えてもらうというところから始めてみるのが良いでしょう。

つぎの段階としては、

「身内(あるいは知り合い)で会社をやっている人が言っていたんですが、アルバイトにも有給休暇を取れると聞いたのですが、うちの会社でもちょっと検討してもらえないでしょうか?」

など、少し提案気味に話をしてみてはどうでしょうか。

会社側がこういった情報を知らずか知って黙っているかという姿勢にもよりますが、最近では少しづつ耳にしていることもあるので、何らかしら受け入れる姿勢があるかもしれません。

言われたらやろう、という会社も少なくありません。

それでも全く駄目な場合には、諦めるか強攻策に出るかのどちらかになります。

アルバイト有休取得の強攻策

いろいろな強攻策がありますが、その前にまず、自身に本当に有給休暇があるのかということを確認しましょう。

1日でも確実にあるということがわかってから行動するようにしましょう。

アルバイトの味方

いろいろな強攻策がありますが、まず第一に、一番の味方が誰であるかを知りましょう。

有給休暇を義務化しているのは労働基準法ですので、労働基準監督署クが味方になってくれると思いましょう。

全国の労働基準監督署の所在地

与えられている権利が履行できないわけですから、労働基準監督署を味方に付けるのが良いです。

労働基準監督署でも有給があるかないかなどは相談に乗ってくれます。

アルバイトが一丸となれるならば

ひとりのアルバイトだけで戦うのは危険ですので、アルバイト全員で行動をしましょう。

アルバイト全員からの相談として、会社に有給休暇をお願いする文書などを提出することです。

こういった文書の提出でクビになる、、、ということはまずないと思いますが、その場合には不当解雇になりますので、労働基準監督署に電話をして相談するということを会社に伝えてみてください。

それに対して応じなければ、労働基準監督署にすぐ電話をして事情を話すのが良いです。

アルバイトがひとりで戦うなら

まず、会社に対してお願いする文書を出すなどしましょう。

無視されたりしたとしても、正社員と同じように有給休暇の申請を実際に出してみて、休んでみて、その日が有給でなかった場合には、正式に会社が有給申請を無視したことになります。

この時点で会社は不履行をしたことになりますので、この事実をもって労働基準監督署に連絡をすると会社に伝えてみましょう。

それに対して応じなければ、労働基準監督署にすぐ電話をして事情を話すのが良いです。

会社は労働基準監督署が怖い

会社は、労働基準監督署の存在がとても怖いのです。

なぜなら、労働基準法違反ということになると、雇用ができなくなる可能性があり、会社が潰れる可能性があるからです。

また、そうした事実が表に出ると、人が集まらなくなるなどの二次的な被害もあります。

ですから、何か起こったらstrong>労働基準監督署に連絡をしますからと言って、会社の対応を伺うのが良いです。

実際に連絡をするとすぐに職員が調査に入りますので、そうなると人事部はいろいろな意味で厄介なことになります。

ただでさえ忙しい中で、そうした対応をすることは人事部としては避けたいので、事前に対応をとることがほとんどだと思います。

しかしながら、そういった認識が甘く労働基準監督署なんて怖くねぇなんて思っている会社であれば電話をして、しっかりとその認識の甘さを理解してもらうのが良いでしょう。

これは有給休暇に限ってのことではありません。

ぜひ、労働基準監督署を味方につけて戦いましょう。

辞める時に有給計算で示談する

いろいろな経緯でアルバイトを辞めるということがあれば、その際に言い出すなどして有給休暇分をもらってやめるということで手を打つことができます。

上記の計算のように、自らに有給休暇が1日でもあるようであれば、それを計算してもらって、最終出社日と退社日を調整してもらって、有給休暇分のアルバイト代をもらうということができるでしょう。

正社員であればどこもこの計算をやっていますが、アルバイトの場合には大抵の場合、やっていません。

それは、言い出さないから、それだけです。

会社は都合の悪いことを言わないだけです。

この有給計算をした上で、退社の際に払ってもらうことを約束するなり、また、そこで払ってもらえないような事実があれば、こちらも労働基準監督署と相談するのが良いと思います。

経営者ならば言い出される前にすべき

あなたが経営者ならば、こういったことを言い出す前に対応する方が良いでしょう。

もちろん、有給休暇というのは働いてもいないのにお金を払うということにはなりますが、実際には、自身でもそういった時間が欲しいことがあるはずです。

美容院に行きたい、デートがしたい、病院にいきたい、子どもの世話をしたい、勉強したい・・・

働くそれぞれの人にも、それぞれの人生があります。

アルバイトという形で働いてはいるものの、働く人(会社からすれば労働者)という観点からすれば、すべての人は同じ条件です。

仕事もプライベートも、充実し健康でいられるように配慮することも経営者としてすべきことの1つではないでしょうか。

アルバイトに対してのみこうした不利益なことをするのは、立場を悪用したイジメのようです。

正社員には有給休暇の話はするけれど、アルバイトにはしないでいるという会社がほとんどではないでしょうか。

アルバイトという立場であっても、やはり同じ働く仲間として受け入れてあげることで、会社へのコミットメント(忠誠心)を高めてもらうことも1つの方法だと思います。

経営者であれば、そうした有給休暇分までもを人件費として考え会社を経営していくことが必要だと考えます。

また、あなたも周りでも、アルバイトで生計を立てている人がいると思います。

そうした人に、アルバイトでも有給休暇がもらえるということを教えてあげてください。

このことで、アルバイト生活の人が自分らしい楽しい時間が作れたり、また、日々報道される悲しい事件が1つでも減ることを祈ります。