借りた金は返すな!?
借りた金は返すな・・・何と大胆なタイトルの本でしょう。
私が経営者をしていた頃、事業がうまく軌道に乗らずお金が回らず途方に暮れていた時に本屋へ行き、見つけた本です。
その時に私にとっては、とても心が楽になりました。
こういう考えを持っていいんだ、と。
いや、借りた金を返さなくて良い、ということではなく、お金の性格をとてもわかりやすく表している本であったので、いろいろと整理するための物事の順番をつけることができました。
自己破産を迫られる社長という立場
その後、この本は私の本棚にしまったままになります。
そこから10年ほど経ったある日、私がとある沈みそうになった会社の救済に当たっていたその時に、この本の存在を思い出しました。
その会社はあと3ヶ月でお金がなくなる、という状態でした。
株主も、役員も、関係する人達すべてが、社長に自己破産を迫っていました。
もちろん自己破産は最終手段としてあっても良いでしょう。
でもその前に選択できることがあり、また、お金を返す順番というものもあります。
社長は生真面目というかある意味でお金に少々弱いところがあったので、私がそういった話をしても、あまり理解してくれませんでした。
そしてこの本「企業再生屋が書いた借りたカネは返すな!」を思い出したのです。
本棚・・・ではなく、段ボールから取り出し、再度読み返しました。
細かい状況や制度は変わっているものの、現状にはピッタリです。
自己破産や、自殺などを考えてもらっては困りますから、私はこの本をその社長に渡しました。
タイトルを見て、笑っていました。
翌日、「なるほどね、ありがとう」と言って、私が描いた再生プランに乗ってくれました。
「企業再生屋が書いた借りたカネは返すな!」が伝えたいこと
借りたお金は返すものだ、ウソをついちゃいけない、、、、
ある意味で真面目な人は、そういう当たり前のことを当たり前のように守ろうとします。
しかし、どうでしょうか。
予定というものは狂いますし、ウソをつかずとも失敗をすることもあるでしょう。
貸した方は何らかの審査はしているはずですし、そのための保険もかけています。
だから、貸したお金が返ってこないということは、想定内のことなのです。
だからこそ、安全のために連帯保証などをとりますが、大抵の場合、社長が連帯保証なので、会社がうまくいかなければ社長も返せないということも多くあります。
貸す側の理論、返せなかった時にどのような対応を金融機関が取れるのか?ということは借りる側にはわからないことなので、その内幕がいろいろと書かれています。
返せないことがわかっていて借りるのは詐欺ですが、返すつもりで借りるのは普通のことです。
窮地に追い込まれた時、また、そのような事態が起こったらどのような手段がとれるのだろうか?と考えて、この本を一度読んでおくのは良いと思います。
究極の選択をシミュレーションできるのは、すばらしい体験だと思います。
経営者の方はぜひ、読んでおくことをオススメします。
新版が出ています
私が手に取った本は2002年版、こちらは2009年版です。
私はまだ読んでいませんが、ぜひ読んでみたいと思います。